嵐の2020年で活動休止をキャリアコンサルタントの視点で見ると。

先週のジャニーズの嵐が2020年末で活動休止
とのニュースが世に衝撃を与えていて、
多くのファンの人々は寂しい思いをしていると思います。

私は芸能ネタに疎いので恐縮なのですが、
今回は嵐の活動休止のお話について、
キャリアコンサルタントの視点で
少し書きたいと思います。

さて、嵐の皆さんが仕事をしてきた年数と、
年齢をふまえると、
ちょうど人生の転機に差し掛かる時期です。

<アイデンティティを確立する青年期>

発達論の視点では20代あたりの青年期には
人は自分のアイデンティティを形成していきます。
「私は〇〇の専門家だ」という感じですね。

嵐のメンバーを例にとると(すみません、勝手な想像です)、
「私はファンや世の中の人々を幸せにするプロだ」
といったアイデンティティを確立するイメージです。

そうやって全力で頑張って、
成人期初期になると、
自分のアイデンティティと
他者のアイデンティティを融合しあう能力が
求められるようになります。

この点では、嵐のチームワークの良さや
メンバー間の思いやりを見れば、
成人期初期を良い形で駆け抜けておられるのでしょう。

<転機が訪れる時期>

で、問題は今、成人期のまっただ中の時期です。
一般的には40歳前後を前にする頃に、
「これで良いのかな?」と立ち止まって悩む時期がきます。

この悩む時期は、本人にとってとても辛い時期です。

悩みが生まれる理由は、
周りから求められる役割が変化してくる影響もあるでしょう。
また、自己確信を持って頑張ってきて、
こうありたいと思っていたことを達成した実感を得ると、
自然と次のステージに心は向かうもの。

心理学者エリクソンによると、
成人期になると達成するべき課題は「世代性」です。
これは次世代(後輩や子供)の育成などです。
仕事では部下や後輩を、家庭では子供を、
育て世話をするといったことですね。

また、これらに直面するだけでなく、同時に、
自分の関心や責任なども次第に広がっていきます。

こういった自分に初めて起こっている変化には、
誰しも不安を感じます。

また、これまでやってきたことが「この程度か・・・」と
悲しい気持ちになることや、
信じていた自分のプライドに対する不信感なども
生じてきたりして、
自分って何なのだろう?と深刻に悩むこともあります。

ここで無理に今まで通りの型にはめると、
その人を苦しめます。

ただし、この時期を乗りこえると、人は一歩成長し、
ふたたび意識も気持ちも安定した状態になります。

だから、この時期(ニュートラルゾーンと言います)は、
成熟した大人になる為に必要な過渡期です。
いわば生まれ変わる為の卵の時期のようなもの。

嵐という社会が生み出した国民的アイドルが
卵の時期に入ったのであれば、
その生みの親であるファンや社会が、
まごころを持って温めてあげるとよいのかも知れませんね。

<その先に見える世界>

そうすると、きっと生まれ変わったメンバー
1人1人が殻を破って登場するのではないかな、
と勝手ながらに思います。

解散でなく休止といっているところは上手いと思います。
ファンへの気遣いかも知れませんが、
一方で、数年間のニュートラルゾーンを経て、
安定期に入ったメンバーが再集結したら、
どんな姿であるのかは、ファンでなくても関心があります。

少し脱線をしましたが、
人には青年期→成人期前期→成人期・・・・と
成長をしていくそれぞれの段階で乗り越えるべき
課題があるのです。

それは今回例に取り上げた嵐のように
その道の一流のプロであっても同じです。
この課題からは逃げず、蓋をせず、
しっかりと乗り越えていくことが、
人が成長する為に、また、幸福になる為には
必要なことだと思います。

彼らと同年代の方々には、参考になる事例と思い、
珍しく時事ネタを取り上げさせて頂きました。

(2019年2月4日)
山本恵亮
1級キャリアコンサルティング技能士
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

<参考コラム>

40歳になってキャリアの不安を感じたらやるべき3つのこと。