キャリアコンサルタント学科試験対策、本の紹介(技能士検定2級、1級)

キャリコン2級と1級の学科試験に、それぞれ1回で合格した方法を紹介します。
長くなりますが、このコラムでは「はじめに」のあと次の項目を述べます。

・過去問について
・基本書のご紹介と使用法の解説
・勉強法のご紹介
・補足書籍

<はじめに>
キャリアコンサルタント学科試験、キャリアコンサルティング技能士2級と1級の
学科試験の勉強は何から手をつければ良いのか、ちょっとわかりにくいですね。
試験範囲はとても広いし、対策用の参考書がある訳でも無いですし。

私もキャリコン2級を受けようと決めた時は、
「何から手をつけようかな?」「予備校に行った方が良いのかな?」などと思いましたが、
学科試験については高い授業力を払ってスクールに通う必要もありません。
2級については過去問と基本書2,3冊で十分に対策が可能です。
(1級はもう少し必要です)

それによって、キャリアコンサルティング技能士2級も1級も、
学科試験は1回目で合格しました。

ま、正直に明かすと、1級の試験はあまくは無くて、
1回目で学科に合格し面接試験も合格点であったものの、論述試験が不合格でした…
(翌年、2回目のチャレンジで合格)

この経験で思うことは、キャリコン2級も、1級も、
学科試験の勉強はサクサクやってしまって、
論述や面接試験の対策に力を入れることが大切だと思います。

さて、学科試験の勉強を始める時に用意するものは、
過去問と学習用の本2冊です。

<過去問>

試験勉強をする為には、その試験を理解していなくてはなりませんね。
どんな形式で、何が問われるのか。
そして、どの程度できれば合格なのか。
到達すべきゴールを認識して、そのゴールと現状の知識レベルとの
ギャップを埋める為に試験勉強をしていきます。

過去問はキャリアコンサルティング技能検定のホームページに
過去三回分が掲載されていますので、ダウンロードしましょう。

国家検定 キャリアコンサルティング技能検定

尚、問題集も何種類か市販されていますが、それらを購入する場合は
予想問題集ではなくて、過去問を掲載している本を選択しましょう。

キャリアコンサルティング協議会のホームページで過去問題集が販売されています。

<試験勉強を始める前に買う、はじめの2冊>

試験を受けると決めたら、最初に買うべき本は2冊です。

キャリアコンサルティング技能士の試験は、特定の教科書がある訳ではありませんし、
その範囲も広いものです。
全てを網羅する為に本を用意しようと思うと何十冊にもなりますね。

そこで、思い切って本当に必要な本だけに絞り込むと2冊です。
この試験の範囲を網羅している「キャリアコンサルティング理論と実際」と、
一番初めに読むと良い入門書「キャリアカウンセリング」です。

それぞれ簡単に説明します。

キャリアコンサルティング理論と実際(木村周 著)

学科試験の範囲を網羅している参考書です。
第一部でキャリアコンサルティングに関わる諸理論や雇用政策など
主に知識に関することを解説し、
第二部ではその進め方やスキルなど実践に関することが述べられています。
この様にキャリアコンサルタントとして理解すべきことが解説されており、
学科試験の範囲をカバーしています。
国家資格やキャリアコンサルティング技能士2級・1級の学科試験の
勉強には必要な参考書です。

キャリアカウンセリング(宮城まり子 著)

読みやすい入門書です。
キャリアコンサルタントとして知っておくべき知識やスキル、常識などについての
基本的なことを読みやすい文章で書かれています。
全体の構成は9章で、述べられていることは、キャリアカウンセリングについて、
その概念(1章)、理論(2章)、方法(3章)、進め方(4章)、技法(5章)、意思決定プロセス(6章)、
メンタルケア関連(7章)、社会での活用(8章)、求められる条件(9章)です。
細部は削ってエッセンスが説明されており、キャリアコンサルタントとして必要な知見を大掴みに理解出来ます。
学科試験の勉強を開始する初期段階に通読して、全体像を掴むことがお勧めです。

<合格する為の勉強法>

過去問とはじめの2冊を用意したら、勉強に取り掛かりますが、
勉強の進め方についてお勧めの手順をご紹介します。

試験勉強は、1から4の順で取り掛かると良いでしょう。

1.過去問をざっとみる(だけ)。

2.「キャリアカウンセリング(宮城まり子)」の通読。
本の紹介文でも書きましたが、この本は必要な範囲全体を基本的な内容で
カバーしています。まず一気に最後まで読んで全体像を大掴みに理解します。

3.過去問1年分を解く。
試験時間と同じ時間で一度やってみましょう。結果はボロボロだと思いますが、
構いません。何が問われて、どの程度できる必要があるのか把握しましょう。

4.「キャリアコンサルティング理論と実際」の通読。
1章ごとに丁寧に読んで理解をしていきます。
その際に過去問の問題に関する記載をチェックしながら読むことと、
2の本の内容と共通する部分を確認しながら読んでいくと良いでしょう。

そして、この先は過去問の演習と記憶の定着に取り組んでいきます。

5.過去問題集を繰り返し解く。
過去問を集めた問題集を解いて、間違えた問題は解説を読み、
もし理解が浅ければ上記の各参考書などの該当箇所を読んで理解します。
そして、間違えた問題を理解と記憶が定着するまで繰り返し*解きます。

 *繰り返し解いて記憶を定着させる方法の例は、下記の1から5です。

 1.間違えた時にやり直す(上記)。
 2.次の日に間違えた問題をもう一度解く。
 3.2でまた間違えたら、その場で1をやって、その翌日にもう一度解く。
 4.新しい問題を解く1から3のサイクルとは別に、
   1週間前に間違えた問題を解いて間違えないかチェック。
  間違えれば1(から3)の方法で理解を定着させる。
 5.以上を繰り返しながら、問題集を1回終わらせたら、
   もう一度はじめから最後まで同じ方法でやる。

6.本番と同じように、過去問を解く。
過去問をダウンロード&印刷して、試験時間と同じ制限時間で解きます。
自分で行う模試ですね。
そして、採点と解き直し、復習を行います。

以上です。
6までやって理解と記憶が定着していれば、
学科試験は合格できるでしょう。

<不足分を補う本>

はじめの2冊でもかなりの部分がカバーできていますが、
試験範囲は薄く(?)広いので、はじめの2冊には十分に取り上げられていない内容もあります。
その不足分を補う為の参照本を5冊取り上げます。

まず、その1冊目は定番の本です。

新版 キャリアの心理学-キャリア支援への発達的アプローチ(渡辺三枝子 著)

代表的なキャリア心理学の諸理論のうち9つが解説されている本です。
理論分野の入門書ですので、はじめの2冊に加えて買っておいても良いでしょう。
(「キャリアカウンセリング」と重複している部分も多いので、この記事では補い本に分類しました)

この本では必ず概要を理解しておくべき9人の学者の理論が詳しく説明されています。
取り上げられているのは、スーパー、ホランド、クランボルツ、ジェラット、シャイン、
シュロスバーグ、ホール、ハンセン、サビカスです。
それぞれの解説は「学者と理論の背景」、「理論の概略と構成」、「カウンセリングへの応用」
という構成で分かりやすく述べられています。

ただし、学科試験の対策本ではない為、出題される可能性がある全ての理論を
取り上げている訳ではありません。
例えば、特性・因子論をカウンセリングとして理論化したウィリアムソン、
発達論のエリクソン、レビンソン、ブリッジス、社会的学習理論のバンデューラなどは
取り上げられていません。各分野(特性・因子論、発達論、社会的学習理論など)を
代表的な上記9名を取り上げて解説することでキャリアの心理学を読者に理解してもらう
ことを目的としているのでしょう。

以上の3冊(はじめの2冊と上記の1)で2級レベルの学科試験は概ね対応できます。

ただし、この3冊で足りない部分や、もう少し深めたい場合は、
下記の4冊で補うことができます。
全てを購入する必要はないかも知れませんが、どれも勉強になる良い本です。

時間があれば通読すると良いですが、サクサク試験対策をするのであれば、
過去問を解いて分からないところを調べるのに使うと良いでしょう。

働くひとの心理学(岡田昌毅 著)

成人発達臨床心理学ハンドブック(岡本祐子 編著)

カウンセリングの理論(國分康孝 著)

現代カウンセリング辞典(國分康孝 監修)

以上です。
尚、キャリアコンサルティング技能士1級の学科試験は、
もう少し細かい知識と使いこなせるレベルで理解出来ている必要があります。

私が受験した印象では、2級で80点レベルだと1級では合格水準に届かないと思います。
2級試験でしっかりと基本的な知識を定着させることが、
先々1級を受ける時の準備にも繋がります。

それでは、皆さんが学科試験はサクサク対策して
合格出来ることを祈っています。

山本恵亮
1級キャリアコンサルティング技能士
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~関連コラム~

<学科試験、参考書籍>

キャリコン学科試験(2級、1級)直前の勉強法

キャリアコンサルティング参考本:発達論・トランジション(推薦図書)

キャリアコンサルティング参考本:社会的学習理論(推薦図書)

キャリアコンサルティング参考本:特性・因子論など(推薦図書)

<面接試験>

キャリアコンサルティング技能士、面接試験のコツ

キャリアコンサルティング技能士検定(1級)の面接試験をどう進めるか。