業界研究・推薦図書:バイアウトファンド(PEファンド)を理解する為の参考本

バイアウトファンド(PEファンド)の業界や仕事を理解する為の
参考図書をご紹介します。

バイアウトファンドは、企業に投資して、
その企業を改革するなどして企業価値を高めて、
IPOや他の企業など次のオーナーに売却してリターンを得る
投資会社です。

業績が悪化した企業を立て直す役割を担うことは有名です。
その他、近年での役割としては、
事業承継を行いた企業オーナーから会社を買取り、
オーナーの鶴の一声で動いていた会社を、
組織で動く会社に仕立て上げて、
次のオーナーにバトンタッチしています。

企業を生まれ変わらせて、
持続的に発展していける組織にする専門家であり、
日本の産業においては欠かせない機能を担っています。
また、投資する資金は機関投資家ら受託した資金ですので、
投資を成功させることは社会の富を増やすことにもなります。

その様な産業社会において貴重な役割を担っている
バイアウトファンドの仕事を理解する為の参考図書を
以下にご紹介します。

<最初に読む本>

コンサルが「次に目指す」PEファンドの世界
小倉基弘(著)、山本恵亮(著)

PE、バイアウトファンドへの転職を考えた時に最初に読む入門書です。
自著で恐縮ですが、この分野のキャリア本が無かったので書きました。
バイアウトファンドの基礎知識、年収、仕事内容、必要スキル・経験、
選考内容(面接事例、採用・不合格事例、等)、キャリアパス、
などについて記載しています。
バイアウトファンドへの転職に興味がある人、
コンサルや金融の次のキャリアを考えたい人、などにお勧めです。

<バイアウトファンドの概要を理解する本>

バイアウト
佐山展生(著)、山本礼二郎(著)

「バイアウト」は独立系ファンドのインテグラル共同代表の著書。
バイアウトファンドの業界、ビジネスモデル、具体的な仕事について、
分かりやすく述べられている。
初学者が同業界やビジネスを大づかみに理解するにはちょうど良い。

プライベート・エクイティ 勝者の条件
杉浦慶一(編)、越純一郎(編)

少し古い本ではあるが、バイアウトファンド業界の
日本国内での成り立ちを知ることができるとともに、同ビジネスの概要を理解できる。
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カーライル流 日本企業の成長戦略
三河主門(著)

グローバル・トップクラスのバイアウトファンドであるカーライルが
日本で手掛けた投資案件のうち、代表的な7件を取り上げている。
カーライルが投資先企業をどうやってバリューアップしたのか、
分かりやすく述べられている。
バイアウトファンドが投資後に何をやるのか、理解することに役立つ。
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<もっと詳しく知る為の本>

事業再生とバイアウト
日本バイアウト研究所(編)

事業承継とバイアウト
日本バイアウト研究所(編)

事業再編とバイアウト
日本バイアウト研究所(編)

上記の日本バイアウト研究所による3冊は、
バイアウトファンドの具体的な投資事例についてのレポートや、
インタビュー記事、業界レビューなどが掲載されている。
同業界とビジネスの概要を理解した後、
バイアウトファンドの実際の活動内容を知ることができる貴重な本。
3冊それぞれ、事業再生、事業承継、事業再編と主要なテーマで記載されており、
投資テーマ毎に具体的な理解を深められるのも有り難い。

なお、上記3冊の続編は、特にお勧め。(下記)
より新しい事例が掲載されている。

続・事業再生とバイアウト (【日本企業のバイアウト】)

続・事業承継とバイアウト―製造業編― (日本企業のバイアウト)

続・事業再編とバイアウト (日本企業のバイアウト) ☆☆☆

3つ目の続・事業再編とバイアウトは2019年11月発行で、
事業再編につながった注目された案件などが掲載されており、
事例も新しく昨今のバイアウト投資の動向を理解出来ます。

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<投資後のバリューアップを知る>

会社を立て直す仕事
小森哲郎(著)

企業変革の実務
小森哲郎(著)

上記2冊はバイアウトファンドの投資先企業を経営者として立て直した人物による本。
プロの経営者がどう企業を再生させているのか、知ることができる。

ターンアラウンド・マネージャーの実務
フロンティア・マネジメント(編)

この本を書いている会社は、バイアウトファンドの投資先企業の立て直しも
たくさん手掛けており、具体的な実務に触れることができる。

プロフェッショナル経営者とバイアウト
日本バイアウト研究所(編)

バイアウトファンドとプロの経営者が、投資先企業を立て直した事例を豊富に掲載。
様々なファンドや業界関係者が各章を記載しており、現場のプロの意見に触れることができる。
また、ファンドの立場と経営者の立場と両方の記載もあり興味深い。

続・プロフェッショナル経営者とバイアウト
日本バイアウト研究所(編)

投資後のバリューアップに焦点をあてた最新刊(2020年12月発刊)です。

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<ファンドに関わるプロの視点で理解する>

機関投資家のためのプライベート・エクイティ
日本バイアウト研究所(編)

ファンドに出資する投資家である金融機関(機関投資家)の人々向けの本。
プロのLP投資家である機関投資家は、どのファンドに出資をするのか、
厳しい目で検討をする。
そんなプロがバイアウトファンドを理解しようとする視点で学べる。

日本のLBOファイナンス
日本バイアウト研究所(編)

バイアウトファンドが投資をする先には、金融機関から資金を調達する。
そのスキームを理解しておくことも、このビジネスを理解する為に必要。

M&Aファイナンス
笹山幸嗣(著)

バイアウトファンドの実務では資金調達はコアの業務の1つ。
LBOファイナンスやメザニンファイナンスなど、
M&Aファイナンスの実務を知ることは、この仕事を理解する上で重要である。
M&Aファイナンスの第一人者であるMCO(株)代表の笹山氏による著書。
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本の紹介は以上です。
バイアウトファンドの概要、具体的な事例を踏まえた詳細、
ファンドに関わるプロの視点からの本などをピックアップしました。
皆さんのバイアウトファンドの仕事理解に繋がれば幸いです。

<筆者>

山本恵亮
1級キャリアコンサルティング技能士

バイアウトファンド、投資銀行、コンサルティングファームへの転職支援を手掛ける。
国内で活動する主要なバイアウトファンド数十社への入社を数多く実現している。
詳しい経歴は下記をご覧ください。
プロフィール
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<参考情報>

山本恵亮によるバイアウトファンドの投資担当者へのインタビュー記事(アンテロープ社のホームページ):
カーライル
インテグラル(連載)

M&Aなど投資銀行の仕事を知る為の参考図書(コラム):
業界研究・推薦図書:投資銀行の仕事を知る為の参考本