考えすぎて能力を制御しない

年始から3泊4日で子供達のスキー合宿に行ってきた。初めは付き添いだと大人面していたのだが、実に学ぶことの多い合宿だった。総勢50名程の子供達は7歳〜10歳で、スキー経験は初めてから数回目までまちまちだ。現地ではレベル別にスキースクールで訓練。初心者の私は、スキーが初めての子達用の5級コースに付き添った。

インストラクターに教えて頂く子供達の後ろについて私も練習。しかし、彼ら彼女らの上達は凄まじく早い。例えば、ストックは危ないからと使用しないのだが、1,2時間もすると坂道を八の字でまっすぐに歩いて登ることが出来、なだらかな斜面をゆっくりと滑れるようになった。3日目には中級コースの急な斜面をジグザグに下っていくことも難なくこなす。その後ろで私は幾度も転倒しそうになり、子供達に引き離された。せっかく前日に子供達とは別に同じ場所で練習したのだが…。恥ずかしながら、その時にいたっては3,4回転倒している。

なぜ子供達はいとも簡単に滑れる様になるのかと、他のお父さんと話していると「子供は怖いもの知らずだからねー。」というコメントが多かった。そして、私が恐る恐る滑っている時に、この言葉が頭に浮かんだ。「そうだ、これだ。」と思い、自分で念じた。「俺は運動神経が良いはずだ。うまく滑れる。」と。そして考えることをやめて無心になると、不思議にも恐怖感は消え、それ以降は転倒することもなく滑れた。いかに頭でぐちゃぐちゃ考えることが本来の身体能力を制御していたことか。そういえば、高校時代の陸上競技大会で掲げられている横断幕に「無心」って書いてあったのはこういうことか、と妙に納得。

自分の頭で考えることはとても大切だ。人間にしかできない特権だろう。ただし、時に、本来持っている能力に制御をかけることもある。今回は恐怖感がそれを引き起こした。今回のスキーでは何とか乗り越えることが出来たのだが、この経験で「頭が人間の無限の能力を制御してしまわない様に、自分でコントロールすることの大切さ」をしみじみと実感した。
・・・・なんて、えらく大げさに書いてしまった。それにしても、子供達の野生の能力はすごい。