明日は無いものとして、今この瞬間を生きる~武士道の教え(葉隠)から~

「武士道と云ふは死ぬ事と見つけたり」
という文は江戸時代に武士道について記された
「葉隠」という本の有名な一節です。

武士が常に意識していたことは「死」です。
死に方、如何に死ぬか、といった拘りが
映画やドラマで描かれていることは多いですが、
その部分だけ見るのは表層的です。

「葉隠」が記されたのは平和な江戸時代です。
戦はなく、華々しく散る場面はありません。
すなわち、日常の仕事や生活の心得として
「死」を意識することを武士は大切にしていたのでしょう。

<自らの命が今日限りだとしたら>

では、普段から死を意識するとはどういうことか。
それは「自分の命が今日で終わるとしたら、
今をどう生きるのか」と心に問いながら日々を
生きると言うことでしょう。

明日は無く、もう会えないと思うならば、
今、ともにいる家族、友人、上司、同僚、後輩など
自分の周りの人々にどのような態度を取るのか。
仕事にはどう取り組むのか。
心残りに思うことはないのか。それをどうするのか。

死を意識して、今日の日をどう生きるのかは、
個々人によって異なるでしょう。
しかし、いつ死んでもおかしくない状況に
自分が置かれていると覚悟すれば、
今やることへの集中度は変わるでしょう。

そして、死ぬ瞬間をリアルに想像して、
その時の自分がどんな気持ちであるのかを思えば、
今、どう過ごすべきか、考えられるでしょう。

<毎朝、最後の瞬間を思い浮かべる>

毎朝、死をよく考えろと葉隠に記されています。
静かに自分の最後の瞬間を思い浮かべろと。
そうして、静かなる覚悟を持って一日を過ごす
という姿勢が武士の生き方なのでしょう。

一日の始めに、この様に内省することは
本来は日本人の文化に溶け込んだ習慣であった
のではないかと思います。
そういえば私の先輩は毎朝瞑想をしていますが、
案外、朝の過ごし方を大切にしている人は
いるのかも知れませんね。

ところで、恋については次の様に言っています。
「恋の至極は忍恋と見立て候。」
「逢いてからは恋のたけ低し、
一生忍んで思い死することこそ恋の本意なれ。」
うーん、思い続けて死んでいく…
大阪恋物語のような恋愛観?
ちょっと、これは死ぬ前に後悔しそうな気がします(笑)

(2020年7月6日)
山本恵亮
1級キャリアコンサルティング技能士
プロフィール
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<参考図書>

新校訂 全訳注 葉隠 (上) (講談社学術文庫)

<Newリリース;キャリアデザイン・ツール(無償提供)>
キャリアの方向を見失ったときに取り組むこと~転機を乗りこえる3ステップ~

<参考コラム>
コロナ危機:自分のキャリアの分断で不安な時に取り組むと良いこと。

コロナ危機:人生の転機では、新たな始まりの前に終わりがある。

<参考ツール>
自分の好きなことを知るには、価値観の把握から:価値観のオンライン・ワークシート

キャリアデザイン・プログラムの自己診断ページ

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