すさまじい収入格差が広がっている日本。(2回:格差を引き起こす習慣の違い)

平均年収と若手高給層の収入格差がとても大きいと
先日のコラムで書きました。
1回:平均年収と準・富裕層の年収水準
まさに平均年収が高給者の1ヶ月分の収入にも
満たないデータを紹介しましたので、
驚いた方々もいたかも知れません。

この様に今の日本では、ずいぶんと
格差が広がっています。

<いったい何が違うのか?>

さて、今回言いたいのはその良し悪しでは無くて、
能力面に違いがあるのかどうか、です。

数千人にお会いしてきた私見ですが、
それぞれの人々に専門能力の違いはあるものの、
基礎能力に大きな違いはありません。
特に、上記で引用した厚生労働省の統計は、
企業勤めの労働者の水準です。
皆さん、それぞれの分野でプロです。

私が上げた事例は高学歴で賢い人々ですが、
人間力全体が卓越している訳ではありません。

しいて言えば、本質を見ようとする姿勢、
考えて判断する習慣、
これらの違いかな、と思います。

<選ぶ職業の違い>

例えば、就職先を選ぶ場合ですが、
希望職種には、次のような違いがあります。

Aグループ:
1.ファッションが好き
→アパレル企業の契約社員でMD見習い
2.旅行が好き
→旅行会社で営業
3.人のお世話をしたい
→介護会社でケアマネージャー

Bグループ:
1.ファッションなど流行好き
→トレンドに敏感な感性活かせそうな、消費財メーカーのマーケッター。
2.宇宙好き(航空宇宙学科)
→基礎的な統計スキル活かして、定量分析アナリスト。
3.人の役に立ちたい
→経営者の問題解決をサポートしたくて、
経営コンサルティング会社のジュニアコンサルタント。

Aグループと、Bグループ、年収差はどれくらいあるでしょうか?
大きな差が生まれてしまいます。

<Aグループのつらさ>

Aグループは5年たっても、10年たっても、200万円から300万円です。
場合によってはもっと低い水準です。

1は年収が低いだけでなく、契約社員(非正規雇用)
であることが多い職業です。
また、従来のアパレル企業の業績低迷は有名です。

2の旅行業も従来型の業種は衰退の一途です。
世界最大のトーマスクックが2019年に
破綻したばかりですね。

3は低収入で、且つ、人材不足で、
ワンオペでのナイトシフト(1人で夜勤)は
常態化しています。

よく調べずに直感だけで仕事を選ぶと、
思い描いていた自分のイメージと大きく異なる
仕事を選んでしまうリスクがあります。
具体的な仕事内容、ビジネスモデル、
業界や会社の状況を調べて、
仮に理想から乖離することがあっても、
それでもやりたいと判断するならいいですが、
そうと知らずに選択すると大変です。

<地味なBグループの仕事を選ぶと>

Bグループは、新卒入社300万円~800万円でスタートして、
30歳位で1000万を超えて伸びていくトラックです。

1はデータとのにらめっこもすれば、
フィールドマーケティングと言えば聞こえが良いですが、
小売店の前に立って買い物をした人に声をかけ、
何を買ったか、なぜ買ったか、などの質問をして、
情報を集める、なんて泥臭いこともやります。

2は学生時代に身につけた数値分析のスキルや
分析モデルをプログラミングして構築するスキルに
磨きをかけて、PCに向き合って分析をするばっかりです。

3は’コンサルタント’と聞こえは良いかもしれませんが、
クライアントに顎で使われる究極の客商売です。

1のマーケッター、2の定量分析アナリスト、
3のコンサルタント、どれも地味な印象の仕事ですね。
でも、ある意味、これはミソです。
地味で、やりたい人がいなくて、かつ、
やれる人が少ない仕事は、収入が高いことが多いです。

<AとB、仕事の選び方の違い>

AグループとBグループの仕事選びの違いは、
その選び方の違いです。

Aは、興味があることから直接イメージできる
仕事を選んでいます。
仕事のアウトプットそのものだけを見ています。
完成品である服、旅行商品、お世話をすることなど。

一方で、Bは、自分の興味やスキルを活かせる
要素がある仕事を選んでいますね。
アウトプットを出す為に必要な作業に注目して、
それが出来るスキルや素質があるか、
あるいは興味が持てるか、
そう考えて選んでいます。

<調べて理解しているか、考えているか>

AグループとBグループの仕事選びの違いは2つです。

1つは、仕事について調べて理解しているか。

もう1つは、その仕事をやる上で大切なポイントが
何であるのかを考えているか。
つまり、アウトプットを出すうえで必要な
能力や興味があるのかを考えているか。

一言で表現すると、
調べているか、考えているか、
ということですね。

職業の選択では、この習慣が違いを生んでいます。
その違いは、その先の人生に究極的な影響を及ぼします。
この点は軽く考えないべきでしょう。

(2020年4月6日)
1級キャリアコンサルティング技能士
山本恵亮
プロフィール
〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

<参考コラム>
すさまじい収入格差が広がっている日本<1回:平均年収と準・富裕層の年収水準>

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<参考ツール>
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