キャリアコンサルティング参考本:発達論・トランジション(推薦図書)

プロのキャリアコンサルタントとして、
個人クライアントのキャリア・デザインの相談や
キャリアの悩みの相談にのるには、
カウンセリングの技法とキャリアの諸理論への理解が必要です。

これらを修得し磨き続けるとともに、
キャリアコンサルティングの実践経験を積むことで、
クライアントが納得感を持てる支援ができるようになります。

ここでは中級程度のキャリアコンサルタントを想定して、
キャリア理論を理解する為の推薦図書を紹介します。
ただし、理論を提唱した本人の原著(邦訳)が中心です。

初学者は、各理論のエッセンスを説明した優れた本が
たくさんあるのでそちらをお勧めします。

(参考)キャリアコンサルタント学科試験対策、本の紹介

さて、このページで紹介するのは、
発達論トランジションの分野の主要な研究者の著書で、邦訳が出ているものです。
下記ご覧ください。

<エドガー・シャイン>

1.キャリア・アンカー-自分のほんとうの価値を発見しよう
(エドガー.H.シャイン)

キャリアコンサルティングの世界では超有名な概念のキャリア・アンカー。
キャリア・アンカー、その人にとって最も大切な価値観を理解することは、
職業選択やキャリア形成にとって不可欠です。
価値観と言われても漠然としておりイメージしずらいと思いますが、
8種類のキャリア・アンカーのどれがその人の価値観に近いのか、
との視点で見ていけば分かりやすい。

キャリア・アンカー―自分のほんとうの価値を発見しよう (Career Anchors and Career Survival)

2.シャイン博士が語るキャリア・カウンセリングの進め方
(エドガー.H.シャイン)

上述のキャリア・アンカーを踏まえて、
キャリア・カウンセリングをどう進めていくのが良いか、
シャインによる解説。

シャイン博士が語るキャリア・カウンセリングの進め方: <キャリア・アンカー>の正しい使用法


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<マーク.L.サビカス>

1.サビカス キャリアカウンセリング理論
(マーク.L.サビカス)

2.サビカス ライフデザイン・カウンセリング・マニュアル―キャリア・カウンセリング理論と実践
(マーク.L.サビカス)

個人の過去から現在の経験に関する意味づけを重視しており、
大きく変化する産業社会に個人がどう対応しつつ、
自分らしさを維持していくことを大切にしているサビカスの理論。
個人が経験している出来事の解釈などの語りを重視している。
上記2冊はいづれも実践的な内容。

3.私のキャリア・ストーリー「書き込み式ワークブック10冊セット」
(マーク.L.サビカスほか)

上記の2.サビカス ライフデザイン・カウンセリング・マニュアル
に対応した記入式の小冊子。カウンセラー用のツール。
カウンセリングや研修実施時にクライアントに記入をしてもらう。
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<D.E.スーパー関連>

D・E・スーパーの生涯と理論
(全米キャリア発達学会)

ライフ・キャリア・レインボーやアーチモデルは、
図だけでなくスーパーの理論の文脈で理解したい。
キャリアの発達は、年齢と関連する予測可能な発達課題と、
年齢に関係ない予測不能な適応課題の影響を受ける。
また、個人は自己概念を発達させて、
それを職業を通じて実現していく過程や妥協と統合の過程が、
職業的な発達プロセスである。
こういったポイントを理解してレインボーやアーチを見れば、
それらの意味がよくわかる。

D・E・スーパーの生涯と理論


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<L.S.ハンセン>

キャリア開発と統合的ライフ・プランニング
(L.S.ハンセン)

サニー・ハンセンの統合的人生設計はとても示唆深い。
おなじみの4つのL、Labor,Learning,Leisure,Love が
上手く合わさって意味ある全体になるという考えは、
幸福な人生を送る上では大切なことだろう。

キャリア開発と統合的ライフ・プランニング―不確実な今を生きる6つの重要課題


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<W.ブリッジズ>

トランジション-人生の転機を活かすために
(ウィリアム・ブリッジズ)

転機について「終わり → ニュートラルゾーン → 始まり」 の
3ステップでとらえるブリッジズの理論も、
キャリアコンサルタントにとって必ず押さえるべき基本。
この本はとても読みやすいという点でもお勧め。

トランジション ――人生の転機を活かすために (フェニックスシリーズ)


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<E.H.エリクソン>

エリクソンの発達段階と発達課題を理解しておくことは、
クライアントを理解する上で役に立つ。
キャリアコンサルティングの仕事をしている方は、
8つの発達段階の図式はご存知だと思うが、
エリクソンの原著は邦訳がたくさん出ている。
図式の丸暗記だけでなく、原著を読んで理解を深める価値はある。

尚、ちょっと読みにくいと言われるのは、日本人にとっては、
この学問が生まれた西欧文化の根底にある価値観
(哲学やキリスト教、ローマ法の文化が融合したもの)
への馴染みが薄いからだと思われる。
エリクソンに限らずだが、それらへの理解を深めれば、
本の内容も腹落ちするだろう。

以下、2冊ご紹介します。

1.ライフサイクル、その完結
(E.H.エリクソン)

エリクソンが8段階の全てを述べている完結版。
また、妻が第9の段階として老年期について追記しており、
高齢化社会である西欧や日本で暮らす我々にとって示唆に富む内容。

ライフサイクル、その完結

2.アイデンティティとライフサイクル
(E.H.エリクソン)

こちらはエリクソンの第1から第3の論文を掲載している。

アイデンティティとライフサイクル

以上です。
他にも特性因子論や社会的学習理論などのエリアで
おなじみの書籍がありますが、それらは別途ご紹介します。
ご精読ありがとうございました。

山本恵亮
1級キャリアコンサルティング技能士
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<そのほかの推薦本>

社会的学習理論に関する本:
キャリアコンサルティング参考本:社会的学習理論(推薦図書) 

特性・因子論などに関する本:
キャリアコンサルティング参考本:特性・因子論など

また、キャリアコンサルティングを学ぶ人向け参考書は、
下記のコラムで勉強法とともに紹介しています。

キャリアコンサルタント学科試験対策、本の紹介

<技能士検定、面接試験対策>

キャリアコンサルティング技能士検定の面接試験を
受ける人は下記のコラムでコツを書いています。

キャリアコンサルティング技能士、面接試験のコツ

キャリアコンサルティング技能士検定(1級)の面接試験をどう進めるか。