稼ぐだけでは物足りない日本人。

例え大きな組織で働く人でなくても、
日本人一人ひとりには、
共同体の精神が深く根づいていると
最近思うようになりました。

仕事を通じて何を成し遂げたいのか、
その仕事をなぜやりたいのか、
などの質問を相談者の方々にするのですが、
特に多い回答は次の様なものです。

・社会に貢献したい。
・人の役に立ちたい。
・日本経済の発展に貢献したい。

これらは別に非営利の仕事を希望する人々の
お話ではなくて、民間のビジネスを希望する
人々からのお答えです。

私がアメリカで働いていた時に、
中途採用の面接でアメリカ人応募者からお聞きした
志望理由は「稼ぎたいから」が圧倒的に多かったです。
それを上司は「良い心構えだ」と評価していました。
日本だと一部の業種を除いて、
面接官に違和感を持たれることが大半ですから、
随分と異なるものです。

日本での仕事をする理由で、
他者や社会への貢献がでてくるのは
やっぱり農耕民族なんだなぁ、と私は思うのです。

農村文化で、皆で協同作業をして、
自分の立場でできることをやって、
手塩にかけて村全体で食物をつくるという
仕事の精神ですね。

現代、多くの人々がビジネスマンとなったけれども、
1人で仕事をする人も増えたけれども、
仕事をやる意味というのが上述したような貢献とか、
単に自分の為だけでない意味づけをする考え方に、
私は農民の矜持を感じます。

もちろん仕事は稼げないと意味はありません。
が、日本人の多くは稼ぐだけでは物足りないのですね。
仕事を通じて公共の為になることをする、
ということができて初めて働きがいを感じる人が
多いのだと思います。

何千年にもわたって培われてきた文化というか、
日本民族の仕事の価値観と思います。
大げさですが。

ただ、言いたいのは、
他者や社会への貢献ということは程度の差はあれ、
我々の中に無意識レベルで刷り込まれている価値観で、
それの一人ひとりへの影響は大きいのでは?
ということです。

もし自分が仕事のやりがいについて悩んで、
その理由が何か分からない時には、
その仕事に貢献感があるかどうか、
または、自分がその観点で仕事をしているかどうか、
考えてみてはどうでしょうか?

歴史的、文化的な背景を踏まえると、
この点にヒントがある可能性が高いかな?
と思います。

2018年11月26日 山本恵亮
1級キャリアコンサルティング技能士
ヤニー株式会社
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<お役立ちツール>
・自らの価値観を考えるときのツール(無料):価値観のオンラインワークシート
・1人でキャリアデザインをするとき:Webで使用可能なキャリアデザイン教材・講座一覧
・キャリアの相談相手が欲しい時:キャリア・コンサルティング&コーチング

<お勧めの本>
J-47 二宮翁夜話 (中公クラシックス)

農民精神から生まれた教訓を学ぶには、二宮尊徳(二宮金次郎)。
誰も超えることができない偉人の言葉から学ぶのが一番。
1つの教訓が1,2ページに収まっているので、
朝や寝る前に一日1項目を読むことはお勧めです。