外資系企業と日系企業とのカルチャー・ギャップに苦しむ理由(アメリカ⇔日本編)

日系大手企業から外資系企業に転職したとき、
または、外資系企業から日系大手企業に転職したとき、
カルチャー・ギャップに苦しむことが多々あります。
特に、この外資系企業がアメリカ企業であるときに
ギャップは大きいように、私は思います。

これを解消する為に有益なことは、
自分を苦しめる相手である外資系企業が、
そもそもどういった文化を持っているのか、
ということを理解することです。

<アメリカの表と裏の文化>

アメリカ企業を例にとると、
アメリカ系の組織が持つ表と裏の使い分けが、
心優しき日本人を戸惑わせることが多いです。

ここでの表は、道義的な顔です。
組織レベルでは会社のビジョンやミッションで
立派なことを打ち出していますし、
個人レベルでは上司は部下を尊重する発言や態度で
紳士的な対応をするアメリカ人上司は多いものです。

そして、その裏とは、露骨な利益追求です。
一見、フレンドリーで道義的な言動ではあるものの、
やっていることを冷静に見れば矛盾に満ちている
ということがあったりします。

本国の幹部層には認めていることを、
ローカル(日本)では大きな制約がかけられる、
仲間と言いながらも収益が悪化したら
有無を言わさず解雇する、などもその一端です。

利益追求の為には、
法律やルールを守りさえすれば何でもあり、
という考え方が浸透しています。
そして、ビジネスや政治では利益を追求することが
最優先、いや、それだけを追求します。

この表の顔を裏の顔、建前と本音の使い分けに
日系大手企業から移ってきた心優しい人々は
戸惑ってしまいます。

特に、日本社会で育った人は性善説で人を見ています。
あの人がそんなはずはない、と。
そうすると「あの時はこう言っていたのに、何で…」
となってしまいますよね。

でも、アメリカ文化では悪気はないのです。
表と裏、道義的・紳士的な態度と
(法律を守った上での)露骨な利益追求は、
当たり前の行動なのです。
良し悪しでは無くて、そういうものなんです。
その社会は厳しいものなのですけどね。

そういうものだと理解できれば、
相手への過度な期待も消えますから、
楽になるのではないでしょうか?

<道義性を重視する日本社会>

一方で、日本大手企業や日本社会というものは、
道義性が重視されています。
ビジネスは収益を上げることを第一目標にするけど、
人に迷惑を掛けてまで金儲けすることは良くない、
三方良しだ、社会や産業への貢献が大事だ、
ということは、多くの日本人には腹落ちする
考えではないでしょうか?

アメリカ系企業から日系企業へ転職したときには、
前の職場で当たり前であった表と裏の使い分けをして、
人には丁寧に接してはいても
露骨に仕事の成果だけを追求していると、
他の人々から賛同してもらいにくくなりますから、
注意しましょう。

表の態度を信じた性善説の同僚は、
裏(悪いことではないですよ、真の目的ですね)の
利益追求をするときの露骨さや厳しさを感じたときには、
「裏切られた」とショックを受けてしまい、
それが反感に繋がりやすいものです。

そんな甘いことを言っていて収益なんか上げられないよ、
と思いたくなるでしょうが、
その組織で自分の力を存分に発揮する為には、
まずは組織を動かす内側の考え方を理解する必要があります。
それを掴みさえすれば、その中で自分らしさを
どう発揮していけば良いのか、見えてくると思います。

<カルチャー・ショックへの対処>

このように、カルチャー・ギャップに苦しんだら、
何がこの苦しみを生み出しているのか、
考えてみましょう。
そして、その組織が持つ文化というか、
その人々や組織を内面で動かす価値観の様なものを
理解できると楽になります。
ああ、そういうことか、と。

または、日系企業からアメリカ企業、その逆含め、
カルチャーが異なる組織に移る場合は、
冷静にその違いを理解しておきましょう。

表と裏のアメリカと、道義性重視の国内系、
それだけが分かっただけでも、
ストレスは減り、どうすればよいか
考えることができるのではないでしょうか。

(2019年1月11日) 
山本恵亮
1級キャリアコンサルティング技能士
ヤニー株式会社
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