退職交渉で上司に慰留されて困ったとき

今回は、退職の意志表示を上司にしたら、その意志は固まっているのに強く慰留されて、困っている人向けに書きます。以前にも「退職交渉が難航したときの対処法」を書きましたが、このコラムで取り上げるのは、その中でも交渉テクニックについてです。出来るなら円満に退職したいけれど、強硬な説得やお叱りで話が進まない、でも転職先への入社予定日は近づいてくる…。板挟みで疲弊しますよね。面接を受けている時の方が楽だった、という感想は多いです。転職活動は、内定を獲得するまでが半分、残り半分は退職交渉を完了させることです。

さて、上司の慰留が激しいときの交渉のポイントは、大きくは次の3つです。

・意思を明確に伝える。
・交渉時の潮目を読む。
・堅持すべきことと妥協して良いことを整理。

まず、「意志を明確に伝える」とは、退職の意志、退職希望日をはっきりと伝えて、それがゆるぎない意志であると言葉と態度で示すことです。相手は強く押せば説得出来ると思えばどんどん押してくるものです。説得しても無駄だと分かれば、(手続き上の説得は実施されるかも知れませんが)相手はあきらめます。丁寧ながらも、隙の無い態度で挑みましょう。

次に、「交渉時の潮目を読む」ことも大切です。以前に別のコラム(「面接を受けるときの態度は、控えめに?積極的に?」)で書きましたが、交渉ではスポーツの試合のように、相手とのやりとりに取り組んでいると満ち潮と引き潮のような勢いの流れが生じます。相手に勢いがあるときは、隙の無い態度を取りながらも、控えめに丁寧に対処します。この時は言いたい事があっても、聞かれてもいないことを話すことや、無理に流れを変えることはせず、質問されれば端的に答えるという隙の無い防衛戦を展開します。

この時の注意点は、うっかり守れもしない約束をすることや、責められるストレスから逃れようと相手の要求を丸のみしてしまうことです。ここは耐えましょう。

そして、野球の試合でも勢いの潮目が変わった瞬間をとらえてたたみ掛けて逆転するように、相手の勢いが引き潮に変わったと見れば、そこで攻勢に転じ自分の言い分をしっかりと主張して一気に突破を試みます。もし、この時に突破出来ず、「もっと良く考えろ」と強く反撃されれば、一旦引いて、翌日以降の早い段階で再度面談して「考えたけれど、やはり意志は変わりません」と一気にかたをつけるのもいいでしょう。

3つ目の「堅持すべきことと妥協して良いことを整理しておく」とは、絶対に譲れないことを自分の中で明確にしておいて、必要であればそれ以外は大胆に譲歩するということです。絶対に譲れないこととは、退職と退職日です。これだけは何があっても妥協出来ないが、それ以外は何でも協力する、という姿勢です。例えば、退職と退職日は頑固に意思を通すけれど、有給休暇を返上して引継ぎ作業に取り組むとか、今後の為にマニュアルと作る、といったことです。交渉が難航したときは、何もかも良いとこ取りしようとしても話はまとまりません。

以上、退職意志を上司に伝えたものの強く慰留されて、退職手続きが滞っている時の交渉方法に関して3つのポイントを記載しました。これらをヒントに、多少の摩擦はありながらも、最終的には円満退職に繋げて気持ちよく新たなスタートを切って頂くことを願っています。

<参考>
退職交渉マニュアル
・・・退職交渉で慰留されて困ってた時や、退職交渉の進め方が分からない人はご利用下さい。
退職交渉が難航したときの対処法(参考コラム)