コース別人事制度に対する誤解

最近は多様なコース別人事制度を導入している会社が
結構ありますね。中途採用であれば、個人の専門分野に
あわせた採用ということは一般的になっていますが、
新卒採用でもコース別人事制度が導入されている
会社を目にします。

それも従来の総合職コース、一般職コース等だけではなくて、
グローバル・コース、セールス/マーケティング・コース、
ITコースなど職種別のコースが設けられている会社があります。

キャリア相談を受けていて、このコース別人事制度に
関連した相談が、特に若い人々から時々あります。
ただ、制度を誤解している人も多いので、今回はこれを
取り上げます。

相談で多いのが「自分は○○コースで採用されて
頑張ってきたが、□□コースの部署に異動になった。
会社に裏切られた、もうやめたい。」といったテーマです。

例えば、海外勤務を目的にグローバル・コースで採用
してくれた現職を選んだのに、国内営業部門に異動に
なった・・・などです。

会社が約束を破った、という言い分は多いですし、
その気持ちも非常に良く分かります。
ただし、1つ誤解をされていることがあります。

それは、コース別人事制度とは、「本人の希望と、
適性を勘案して決める複線型人事制度」であることです。
つまり、本人の希望や意思が半分、適性が半分です。

ですから、数年間そのコースで仕事をして別のコースへ
異動となるということは、適性が不十分だという判断が
された可能性もあります。
または、もっと他に適性があると判断された可能性もあります。

そこで、「約束を破られた」「やりたいことと違う仕事になった」
「もう辞めてやる」と感情的に反応するのではなく、
一度、異動になった意味を考えてみると良いと思います。

やりたいと思っていたことが単なる思い込みだったかも
知れませんし、仮に本当に適性がなかったとしたら、
そんな業務にエネルギーを費やしても無駄です。

また、自分でさえ気づいていない強みがあるのかも知れません。
だとしたら、新しい発見で、新しいチャンスです。

落ち込んだり、辞めてしまう判断をする前に、いちど
その意味を考えることや、その理由を確認してみることは、
とても自分にとって価値があると思います。

その上で、新しい役割の仕事を続けるのか、
職を変えるのか、判断をすると良いのではないでしょうか。

(山本恵亮 2016年5月13日)