年代による仕事の悩みの傾向(発達課題の視点から)

仕事の悩みを数多くお聞きしていると、相談者の
年齢によって特徴があるのが見えてきます。

例えば、若い人だと「自分はいったい何の専門家なのか?」、
アラフォーの人だと「管理職に昇進予定だが、自分はまだ
プレーヤーでいたい。」といった悩みをお聞きします。

それぞれの方々は、ご自身の悩みはご自分特有のものだと
思っておられますが、実はご自分の世代で共通の悩みで
あることも多いのです。

このテーマを研究した人も数多くいて、発達心理学の分野では
各年代で達成すべき課題(発達課題)があると考えられています。

例えば、青年期は「アイデンティティの獲得」、成年初期は
「親密性の獲得」(例:仲間とか配偶者との出会い)、
アラフォー世代は「次世代を育てる」ことなどです。

アラフォーの人だと、これまで社内のエースとしてビジネスの前線で
活躍してきたのに、後輩が主役になり、自分は管理職・・・・。
何か喪失感を感じる、ということは多くの人に生じています。

だったらプレーヤーでやれる仕事を探そう、とか、異動を希望しよう、
とか考え始めるのは、20代、30代を過ごしてきたアラフォーの人に
とっては自然な考えですが、実は今の悩みの根源はそこでは無いかも
知れません。

アラフォー世代(正しくは40代・50代)の発達課題に目を向けると、
「次世代を育てること」があります。
つまり、後輩や部下を育てることですね。
(プライベートでは家族、子供を育てる、ということもあります。)

自分の悩みを解決する為のチャレンジが、これまでと同じプレーヤー
としてのチャレンジではなく、人を育てることが、今、挑戦すべき課題
だという可能性が高いのです。

その課題を乗り越え成功体験を得ると気持ちも安定し、
他方、乗り越えられないと、自分の殻に閉じこもったり
停滞したりする心理的な危機が生じるとされています。

これらは、全ての状況にあてはまることではないでしょうが、
自分の年代に多い傾向として参考にしてみると、
現状を打開する上で考える糸口になるのではないでしょうか。

キャリアについて悩んだ時は、そのような切り口で考えると
前に進むきっかけを得られることもあります。

(山本恵亮、2016年5月17日)