新卒エリートの20年後のキャリア:20代編

前回のコラムで10年前から20年前に新卒で社会に出た
40代と30代人々のキャリアの特徴について述べました。
今回は、今年含めて最近社会に出始めている20代について
書きたいと思います。

<前回のおさらい>

まず、前回述べた40代と30代のおさらいです。
40代は、環境の変化に右往左往しながらも
自らのOSを改良してサバイバルしてきた多数派と
就職でなく起業を選んだストリートファイター型と
表現しました。

30代は、大企業でのハードワークで自らを鍛えて
ビジネスマンとしての型を修得した上で、
起業する人が大幅に増えているのが特徴です。
タフで賢いこれらの人々を総合格闘家タイプと称しました。
一方で、世代内での能力格差が広がっている傾向もあります。

<環境が20代に与える影響>

それでは、今回は、20代の人々について述べます。

・・・が、20代、それも最近社会に出始めている
20代前半から半ばの人々が、
20年後にどんなタイプになっているのかは、
未来の話しで想像するしかないですね。

ただ、少なくとも、この世代に環境が与える影響は、
上の2世代とは大きく異なると思います。

労働環境で言えば、働き方改革で時間の意味での
ハードワークが消滅しつつあります。
投資銀行ですら残業規制がある時代です。

ビジネスや社会の環境では、デジタル技術が
既存のビジネスを大きく変えているのはもとより、
セントラライズされた産業や社会の構造が崩れつつあり、
個が横やナナメで繋がる社会へと変わってきています。

この大きな2つの変化が今の20代のキャリアに
これからどう影響していくのでしょうか?

<転職希望先の変化>

更に、20代前半の人々が転職先として興味を持つ業界が
従来から変化してきているとも日々感じます。

具体的には、投資銀行やコンサルティングファームよりも、
ベンチャー企業を志望する人が増えています。
特に、テクノロジー×実ビジネスの融合領域で力を発揮する会社や、
従来の世の中の在り様を変えそうな技術やビジネスモデルを持つ
会社へ優秀な人材の興味が移っているように思います。

ある20代半ばの聡明な若手(東大卒、新卒でデジタル・ベンチャー)に
「その能力があれば外資系戦略コンサルティングファームで
十分に活躍出来るよ。
英語も出来るのだから、マッキンゼーでも行ってみたら?」
と聞いた時の返答は、
「我々が行っていることは、マッキンゼーがやることではない」
とのことでした。

この発言の意図を平たく言えば、
「マッキンゼーでは新しいことを生み出すことは出来ないし、
既存の世の中の仕組みを変えるようなことも出来ない」
ということです。

最優秀人材の興味が従来型のエリート企業から、
別の分野に移りつつあるように思います。

<新卒組の20年後は?>

20年後に今の新卒組がどうなっているか、
想像してみると面白いかも知れません。
20代の人々が自分の未来を想像するということも
当人には意味があります。
一方で、上の世代、例えば40代が想像すると
その時の社会がどうなっているのか、
思い描くことでもあります。

優秀な30代とニュータイプの20代が社会の中心になった時、
伝統的なOSを改良しながら変化をサバイバルしてきた
40代はどうなっていますかね?
私も含めて、ですが…

(2018年3月26日 山本恵亮)