国内でも収入格差が広がっていると
前回のコラム(ルポ「シリコンバレーで
起きている本当のこと」から連想する
日本での格差)で述べたのですが、
今回はより具体的に
「30代前半の収入格差」について
書きたいと思います。
30歳~34歳の平均年収を厚労省の
賃金構造基本統計調査で見ると
270万円弱です。
この中でも会社規模や性別、学歴で
差があり、例えば、
大企業の男性は約320万円、
小企業の女性は約210万円と、
100万円ほどの開きがあります。
この100万円ほどでも大きな差だな
と感じますが、統計ではなく
個別の年収水準を見ていくと、
もっとリアルな差が浮き上がります。
例えば、同じ30代前半の年齢層で、
外資系金融やコンサルティング会社の
専門職では年収2000万円以上を
稼ぐ人々が珍しくなく、
国内系企業でも大手商社や金融機関の
本社勤務などのエリートコースだと
1000万円以上です。
ただし、年収2000万円といっても、
常に自己成長していないと会社に
居続けることが出来ない
UP or OUTの環境であったり
土日もなく連日朝~深夜2時まで
仕事をして、勤続3年以上の人は
稀という職場であったりして、
皆さんご苦労されているのですが。
とは言え、金額だけに着目すると、
こうしてみると日本でも、
30代前半の若い年齢層で全国平均と
一部の高給層で5倍、10倍の格差が
あるのが見えてきます。
10倍ってすごいですよね。
この平均年収200万円~300万円
を下回ると、家族がいると食べていく
ので、精一杯になってしまいます。
昔のように年齢と共に収入が上がる
のであればいいのですが、
今はそんな時代ではなくなっており、
労働者としては収入を上げるのが
大変な社会になっています。
現に、近年では20代30代の若手層
における非正規社員の比率が高まって
います。25歳から34歳でやむなく
非正規である人の割合は28%程です。
多いですね。
非正規だとスキルを高める機会が少なく、
勤務を続けていれば収入が増えるという
ことも殆どない、という状況です。
しかも、非正規から正規への転職が
大変難しいのです。これでは、
ますます収入格差は広がります。
この傾向が続いた場合の社会の将来像
は心配ですね。
さて、個人のキャリアを検討するに
あたっては、この様な自分を取り巻く
労働市場も理解した上で考えることは
大切です。
転職活動をしたいが忙しいので、
まずは現職を退職してから転職に
ついて考えるか、働きながら
考えて転職活動をするか、
やりたい仕事に就く為に退職して
勉強に集中するのか、つらいけど
働きながら勉強するのか、
契約社員での雇用だけど
やりたい仕事内容にであったとき
その仕事に転職するか、しないか、
などなど、キャリアを検討するときに
決断が求められる局面があります。
時には思い切った判断と行動も有効
ではありますが、
自分を取り巻く労働市場のことも、
検討要素の1つには加えておいて
決断することが、最終的には
納得感ある判断となると思います。
(2016年11月28日 山本恵亮)