仕事でお世話になっている
ある研究者の方は、その分野の
第一人者です。
そんな彼のところには、研究分野の
業界について情報や人が集まるので、
頻繁に問い合わせの連絡があるそうです。
その業界でビジネスをしようとする人や
取材をしようとする記者の人、
転職希望者まで、様々な人からの連絡が
あるとのこと。
しかし、基本的には相談の申し入れを
お断りされているそうです。
なぜかと聞くと、何の準備もせずに
楽して答えを得ようとする姿勢の人が
非常に多い為だそうです。
相談のされ方について例をあげると
「〇〇業界について教えて下さい」
という相談のされ方が多いそうです。
その研究者の方からすれば、
「そんなことは著書に書いているから、
そっちを読んでよ。そういう人の為に
本を書いたのだから」
という気持ちになるとのこと。
著書を読むとか、自分なりに調べて
みたけど、分からないことがあるから
相談をしたいというのではなく、
何の準備のも無いまま「取り敢えず
1から教えて下さい」という人が
やたらと多いと嘆いておられました。
その道のプロに話を聞くときに、何も
調べず、基本的なことも知らないまま
「1から教えて下さい」と
楽して情報を得ようとすることは、
失礼ですよね。
例えば、野球担当になった記者の人が
イチローに「野球のルールについて
教えて下さい」という理由でアポを
取ろうとしますでしょうか?
そして、イチローが「野球とはね、
ピッチャーというボールを投げる役割
の人が投げたボールをバットと言う棒
で打ったら、右前方にある一塁という
場所に向かって走っていくのだよ…」
と教えるでしょうか?
ないですよね。そんなこと。
少なくとも入門書などでルールなどを
理解して、プロ野球にどんなチームが
あるのか、どんな選手がいるのか、
概要を調べて、試合を観たりして
準備をするでしょう。
その上で、どうしても分からないこと
知りたいことを、野球の専門家に
聞きに行きますよね。
それが最低限の作法です。
ですから、人に教えてもらいたい時は
最低限のことは調べて理解した上で、
何を聞きたいのか、話を聞く目的を
明確にしてから相談をしましょう。
ちなみに、これはプロに相談する時の
作法であるだけでなく、
仕事で上司や先輩に教えを請う時や、
面接の質疑応答で質問をする時などの
コツでもあります。
(2017年1月9日 山本恵亮)