その道のプロは、世の中にある職業それぞれの中に
必ずごく少数ずついると思います。
“一見”いかにもプロフェッショナルっぽい職業でなくても、
その道で卓越したプロっているのだなーと思う時が
しばしばあります。
例をあげると、私と家族の趣味でよく訪問する
ある昆虫ショップ。
クワガタムシとかカブトムシ、本格的な標本、
飼育や標本づくりの器具などを販売しているお店です。
ムシオタクの聖地と言えるお店ですね。
ここの凄いところを敢えて2つだけ上げると、
販売されている何百匹という昆虫が清潔であることと、
店の人々のが全員ムシのことであれば何でも知っていて
教えて下さることです。
昆虫が清潔とは、普通はムシって臭くなったり、
ダニがついたり(気持ち悪いですね、ごめんなさい)、
清潔に保つことは大変なのです。
それが、この店には10㎝四方くらいのプラ・ケースに
オスとメス一匹ずつが入れられて、
店内の棚にずらりと少なくとも500個以上(?)は並んでいます。
でも、においはしないし、ケースに汚れはついていないし、
ダニやコバエもいない。
これって、大変骨の折れる作業なのです。
しかも、年中ほぼ無休。
また、店の人々が全員ムシのことは何でも知っていて
教えてくれるとは、ほんとう皆さん、かなりの通というか、
生物の専門家です。
アルバイトっぽい若い男性も、レジの女性も、
ちょっと聞けば、かなり深いことまでも答えてくれます。
***
店員さんとお客さんの会話:
(客)「ムシの産卵には菌糸ブロックとこの木とどっちがいいですか?」
(スタッフ)「一時期ブロックは流行りましたけど、木に菌糸(キノコの元)が
ついているものが良いです。特に、〇〇の木がお勧めです」
(客)「△△の木よりも、〇〇の木が良いの?」
(スタッフ)「〇〇の木が良いのは……という理由なのです」
***
そして、如何にも詳しそうなベテランおじさんに至っては、
どの昆虫がどれくらいと湿度で、どの種類の土を好み、
飼育のコツは何か、ということはもちろんのこと、
専門的な器具(捕獲や標本づくりの)を丁寧に指導してくれます。
(子供に対しても、指導と練習を何回も)
チェーン店のペットショップの昆虫コーナーでは
このようなことは絶対に無理です。
大手ペットショップだと、主力の犬や猫についても、
質問しても納得のいく答えは返ってこないこともあるので、
ましてや昆虫をや、ですね。
一応、販売している商品なのに…。
話しを戻すと、この昆虫ショップはニッチな分野ですが
その道の愛好者がものすごく集まります。
あるお客さんに話しかけたら、始発の電車で大阪から来たと
仰っていました。
ここまで極めると、それを求めて、その分野に真剣な
お客さんが集まってくるものなのですね。
このお店では、趣味の為に商品を購入するだけでなく、
1つのことを極めることが仕事で成功する為の道であり、
極めるとそれを支持するロイヤリティの高いお客さんが
集うということを学ばせて頂いている気がします。
じゃあ、自分は何の仕事を極めるのか?
と悩んでいる人もいるでしょう。
その場合は、自らの価値観や根源的な欲求を理解する為に
自分に向き合って内省することです。
また、今すぐにやりたい仕事が見つからない場合は、
内省しつつも、
同時に今やっている仕事を極めてみると、
新たな道が見えてくるかも知れません。
2018年6月11日 山本恵亮
キャリアコンサルタント
1級キャリアコンサルティング技能士
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