日本組織の見えざるルール

日本の会社組織でよく見かけるタイトルで、
相談役とか会長というものは一体なんやろか、
と昔は不思議でした。

引退しても、組織にしがみつきたい人が
そんなに沢山いるのか、と思ったものです。

でも、これって日本の歴史的にいえば、
自然なことだと、あるとき気づきました。

天皇と首相の関係、
天皇と将軍の関係、
将軍と老中の関係、
などなど。

実質的に支配しているトップと、
お飾り(に見える)トップとの
関係は日本史上珍しいことではありません。

お飾りのトップが必要なければ、
いくら争いを望まない日本社会においても
あっさり片付けられています。

この形態が日本社会で珍しくないのは、
その方が社会を、組織をまとめやすいからです。

日本では実務上のトップが、
権威あるその上の存在(天皇や会長など)に
実行すると決めたことを実施する前に報告することで
その社会や組織で効力を持つのです。

例えば、歴史的にも天皇が直接政治実務を担ったことは
多くありません。
その下の実務上の責任者(太政大臣、将軍、執権、、、等)が
法律や政策を決めて実施していました。

その時に大事なことが、それらを決めて実施する前に、
そのことを天皇に報告して形式的な承認を得ることであり、
その結果、その法律や政策が、社会や組織において
正当なものとして所属する人々に認められるように
なっているのです。

同じことは、実務的に有能な社長とカリスマ会長との
関係にも言えます。
社長や役員会が決めたことを会長に報告して、
承認を取るのですが、会長は基本的にはNoとは
言わずに「はい、わかりました」と認めるだけです。

一見意味が無さそうな儀式のようですが、
実は決定事項に効力を持たせる為の大切な
手続きなのです。

戦後マッカーサーが米国本国の意向に反して、
天皇制を維持した理由も、
この日本社会の見えざるルールを見抜いていたから
と言われています。

ここに組織で働く人にとってのヒントがありますね。
自分が管理職で部署をまとめることに苦労したとき等に
上述の様な視点から自らの組織や環境を観察してみると
突破口に気づけるかも知れません。

(2017年7月10日 山本恵亮)