ネクストキャリアの勘違い:投資銀行からCFOへ。

転職市場で関心が高まっている経営人材へのキャリア。
その1つにCFOがあります。

特に、財務会計のトップとしての役割だけでなく、
コーポレート部門のヘッドとして管理部門を束ねつつ、
社内体制の構築や業務改善なども主導するような
ビジネス面に貢献する役割まで担う、
戦うCFOを志向する人が増えています。

ただ、CFOに転職したものの、「違ったな…」と
ハッピーで無い人が珍しくありません。

例えば、M&Aや資金調達を手掛けていた投資銀行のバンカーなど、
ファイナンスの専門家+営業フロントを担ってきた人の中で、
時々そういったミスマッチをお見かけします。

これは仕事と自分の特性を見誤っていたことが原因です。

何を見誤っていたのかというと、例えば、
自分は事業をドライブしたいタイプであるのに、
CFOは経営陣の一角とはいえ、あくまで管理部門で
収益を稼ぐ当事者ではないことです。

どれだけ事業部門に貢献する役割も担ったとしても、
営業をして利益を稼ぐこと自体は事業部門が担います。

一方で、CFOは事業運営に必要な資金を調達し、
内部体制を構築して、
そして利益が出やすくなるような内部の改革などを
けん引するなどします。

しかし、事業開発や営業戦略を立てて実行することは
事業部門の役割です。

<転職後に気づく違和感>

このことは事前に頭では分かっていたとしても、
入社してみて初めて実感する違和感もあるようです。

例えば、前職の投資銀行でバンカーとして、
大きなディールを獲得する為のし烈な戦いに、
知恵を振り絞って、やれる限りのことを実行してきた
プロとしては、
自社の事業部門の未熟な営業姿勢を目の当たりにすると、
もどかしく思ってしまいます。

***

「もっとクライアントには、こうアプローチすべきなのに」

「ニーズが無いからといって顧客訪問をしないのではなく、
顧客の潜在課題を掴んで、それに対して分析情報を提供するなど、
かゆいところに手が届く対応をすべきなのに」

「そもそも、こんなに早く帰ってしまうの?」

「退社後に連絡をしても、つながらないし…」

***

・・・など、じくじたる思いが湧き出て来るのです。

バンカーだった時はファイナンスの専門家でしたが、
そもそも案件獲得の前線に立つ営業マンでした。
自ら収益をあげることに働きがいを感じていたのです。

こういったことに、その仕事から離れて初めて気づく
ことが多々あります。

<どうすれば、良いのか?>

ポスト投資銀行のキャリアを考える時に、
専門能力(=コーポレートファイナンス)と
興味の分野(=事業運営)を踏まえて
判断したことは間違いではありません。

でも、自ら行動して収益を稼ぐのではなくて、
前線で戦う人々を裏で支える役割であり、
その様な役割に合う特性を自分は持っているのか、
自分の特性は何なのか、
という点での仕事への理解と自己理解が
欠けていたということです。

ネクストキャリアを考える時は、
その仕事に求められる特性と
自分のパーソナリティの特性がフィットしているのか、
という点を理解することが大切です。

この理解が不足していると
上記のようなミスマッチが生じるので注意しましょう。

2018年6月25日 山本恵亮
1級キャリアコンサルティング技能士
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