体育会出身者は採用で有利と言われるが…

体育会の出身者は、就職や転職で
人気が高いと良く言われるけれど、
期待されている長所と、
物足りないと思われる能力とがある。

期待されていて、
実際に多くの体育会出身者が修得している
能力は次のようなものだ。

・頑張り続ける力
・会社や上司の指示に素直に従う
・チームプレーが板についている
・心身共にタフ
・いざという時の実行力

会社の方針を素直に受け入れて、
周囲と協調しながら、
どんなに大変な仕事にも、
上司やクライアントの厳しい要求にも
音を上げずに頑張り続けて、
結果を出す…。
そんなところが期待されているのだろう。

一方で、「人は良いのだが、ちょっとね…」と
物足りないと思われる特徴もある。

・0から自分で目標を設定する。
・その目標を達成する為の手段を自分で考える。
・洞察力。
・新しいルールを作り出す力。

体育会で本格的に競技をやってきた
スポーツ選手は「勝つ」「日本一になる」
という目標が既にあって、
それに向けて監督やコーチが用意した
練習メニューをこなすという行動が
中心になっていることが多い。

よって、自分の目標を自分で考えて設定し、
それをどうやって達成するのか、
やるべきことを自ら考えることに
慣れていなかったりする。

また、自分や周囲の出来事を客観的に観察し、
ひょっとして、
こういうことが言えるのではないか??
と洞察し、

「じゃあ、こうやったら上手くいくのでは?」
と仮説を立てて、
やったあとに検証する…という
科学的な考えや行動を苦手とする人も多い。
これらは、監督の仕事だからかも知れない。

そうすると、上司からざっくりと指示されると
困ってしまう。

「君、年間売り上げを現状から1割増しに
してくれたらいいから、
部下を使って自由にやってくれ!」

などと、大まかな指示だけで任される
ことは社会人だと結構ある。

更に、ビジネスではルールが明確ではない。
仕事でライバル会社と競合していると
例えば、
「この勝負で求められているのは、
得点を取ることではなくて、
実は観客を驚かせることだ」
などと、
状況を動かしている見えないルールを
見抜いて、対策を考えることも必要だ。

このように、体育会出身者には、
卓越した強みとともに、
大きな未開拓の能力がある。

この未開拓の能力を
自ら進んで開拓して取得していくことが
体育会のスポーツ選手が社会に出た後に
仕事で活躍する為には必要なこと
ではないだろうか。

それも、社会に出て必要になったら
身につけよう…ではなくて、
今すぐに。

逆に、採用者側の立場から言えば、
上述の未開拓分野の能力を身につけている
体育会出身者を見つけたら、
それは買いだ。
きっと群を抜いた成果をあげるでしょう。

2017年7月25日 山本恵亮